更新:2017.2.16

大丈夫なの?未検査米(2)

 もうひとつの"決まり"

さて、米トレーサビリティにより産地の情報を伝える義務は果たしても、より具体的な産地を表示出来ない「未検査(・・・)米」な訳ですから、何か検査が必要だと容易に予測できます。それが農産物検査です。
◎ 農産物検査とは?
農林水産大臣より登録を認められた各検査機関で品位等検査や成分検査を行うことです。品位等検査は産地・品種・産年・品位(等級格付)の検査。成分検査はタンパク質や水分などその成分を検査します。(農産物検査は平成18年に国から民間へと完全に委ねられています。)品位等検査を簡単にいうと農産物検査員が目視で米粒の良し悪しやゴミなどが混ざってないかを基準に沿って格付け判定するのです。
現在では全て任意検査となっています。
※残留農薬検査や放射能濃度分析などの検査ではありません。

この検査(品位等検査)の証明を得て、初めて具体的な「産地」「品種」「産年」が表示できるのです。



 任意の農産物検査だけれど・・・
このルールがJAS法に基づく「玄米及び精米品質表示基準」(管轄:消費者庁)というものです。 堅苦しい名前ですが、要するに一般消費者への玄米や精米したお米の販売についての決まり事です。 消費者に対して、「産地や品質に関する情報を表示してください」、「その表示方法はこうですよ」ということですね。表示項目は全部で5つ。
  1. 名称
  2. 原料玄米
  3. 内容量
  4. 精米年月日(原料玄米を精白した年月日をいう。以下同じ。)
  5. 販売業者等の氏名又は名称、住所及び電話番号
 最低限の情報伝達!?
ここからがようやく本題です。「未検査米」は2の「原料玄米」の欄に表示されます。 ここの欄には「産地」「品種」「産年」「使用割合」を表示します。袋詰したお米を消費者に販売するには農産物検査による証明がなければ、「産地」「品種」「産年」は事実通りに表記できませんよ、と、このルールでは定められているのです。

図で説明します。「埼玉県平成28年の10月にコシヒカリという品種のお米を収穫した」とします。そして、上記のお米を精米し、10kg商品として袋詰めして一般消費者に販売する場合、どのように表示されるのか。
A. 検査済
B. 未検査

おわかり頂けたでしょうか。Aはそのまま事実を記載できます。しかし、Bの未検査では、「複数原料米」となっていることにお気づきでしょうか?例え、本来は混じりっけなしの100%同一米であっても、検査をしていないがために単一原料米という「1種類の原料米」とは認められないのです。複数原料米という「2種類以上の原料をブレンドしています」というような表記になってしまいます。

「産年」に関しては、検査しない場合は未表示となります。いつ収穫されたのかわからない。つまりは証明できないということです。「未検査米」という言葉に関して管轄の消費者庁では

欄外に「「産地未検査」とは、農産物検査法等による産地の証明を受けていない米穀のことをいいます。」又は、「米トレーサビリティ法に基づき伝達された産地を、その事実に基づいて表示する場合には、「産地未検査」と記載しています。」等を注記し、消費者に「産地未検査」の意味を積極的に表示するようお願いします。
と、呼びかけています。

検査を受ける受けない関係なく、米トレーサビリティによって産地表示は義務付けられていますので、 国産か外国産かの区別はできます。具体的な表示に関しては「玄米及び精米品質表示基準」に従うことになります。「産地」「お米の中身」の情報の表示は義務ではあるが、検査証明がなければ表記できない。それ故、このような曖昧な表現になるのです。

 ここが農家(生産者)の泣き所?!

この検査は繰り返しますが、義務ではなく生産者の任意です。冒頭でも申し上げましたが、現在の米流通は原則、自由となっています。大雑把に言ってしまえば、受けなくても法律の範囲内であれば流通は自由なのです。

生産者である農家がお米を従来のように出荷しても売値は安く、規格ごとに仕分けされたらあとは一緒くたにされてしまします。同じ規格であれば、売値の優劣はつきません。優劣がつくとすれば、お米に限った話ではありませんが、名の知れた地域であれば価値は上がるでしょう。

では独自で販売となると、検査のための輸送コストや労力など様々な経費をかけ、販売に向けてチラシだの何だのとさらにコストが嵩む。これではとてもじゃないが採算に見合わない。ただでさえ、市場が縮小し、農機械の返済や生産コストで大変なのに。資金的にも肉体的にも続かない、というのが現状のようです。
 品質はまた別問題
検査を受けた検査米であったとしても味や品質を保証するものではありません。あくまで産地と品種、産年の表示ができるということです。中には「未検査米」となることを受け入れ、生産者自ら安心安全と品質の良さを伝えていこうという方もいらっしゃいます。また制度自体も完全ではないことも事実です。

未検査米とは不思議な表記に見えますが、正式な表記であり、その理由もあるというのがわかりました。もう少し詳しく知りたいという方
今回は少しデリケートな問題を扱ったかもしれません。ここでお伝えしたいのは、「未検査米」の安全性ではありません。事実、その言葉だけでは判断できません。そうではなく、こういった事例を通して、お米や農業に対して知識やご理解といったご関心をお寄せ頂くことが大切だと考えているのです。
今回のまとめ
  • お米には産地の伝達義務がある
  • 未検査米は任意の検査を受けていないもの
  • 検査の有無は必ずしも品質を保証するものではない



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